古物営業を行う方は以下の点に注意しなければ罰則を受けるおそれがありますのでご注意ください。
営業所として定めた場所の見やすい場所に、古物商としての標識を掲示しなければなりません。
法律上では「見やすい場所」と定められているため、例えば引き出しの中などにしまっていた場合、「見やすい場所」に該当しないということで法令違反となる可能性がでてきます。
※標識については、Amazonなどで、「古物商 標識」で検索されますと、安価なものが見つかります(「古物商」と書かれた標識は認められません)。
また、ウェブサイトで取引する場合は、ウェブサイト上に氏名や名称、許可を受けた公安員会の名称、許可番号、取り扱う古物に関する事項を掲示しなければなりません
ウェブサイトで取引をしない場合であっても、ウェブサイトを保有し、5人以上の従業員がいる場合は同様の措置をとらなければなりません。
第12条 古物商又は古物市場主は、それぞれ営業所若しくは仮設店舗又は古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければならない。
2 古物商又は古物市場主は、その事業の規模が著しく小さい場合その他の国家公安委員会規則で定める場合(その者が特定古物商である場合を除く。)を除き、国家公安委員会規則で定めるところにより、その氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称及び許可証の番号(次項において「氏名等」という。)を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。
3 特定古物商は、前項の規定により氏名等を公衆の閲覧に供するときは、氏名等と共に、その取り扱う古物に関する事項を公衆の閲覧に供しなければならない。
古物商は取引時に帳簿を記載し、記載した日から3年間保管しなければなりません。
どんな内容の帳簿でもいいというわけではなく、法令により定められた内容を記載した帳簿でなければなりません。
また、当事務所のウェブサイトではExcel形式の電子帳簿をご自由にダウンロードできるようにしておりますので、よければご使用ください。
※電子帳簿の場合は、プリンターに接続するなどの方法により、直ちにプリントアウトできるようにしておかなければなりませんので、プリンターがない場合は、コンビニ等のコピー機で印刷してお使いください。
【買取りの場合】
1万円未満で、バイク(原付含む)・書籍・ゲームソフト・CD・DVD・書籍以外のものは帳簿への記載義務はありません
【売却の場合】
・バイク(原付含む)は値段にかかわらず記載が必要です。
・自動車・時計・宝飾品類・美術品類は、1万円以上の場合に帳簿への記載義務が発生します。
記載すべきかどうか迷った場合は記載したほうがいいでしょう。記載しても法律上不利になる事はありません。
第16条 古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第2項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。
一 取引の年月日
二 古物の品目及び数量
三 古物の特徴
四 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢
五 前条第1項の規定によりとつた措置の区分(同項第一号及び第四号に掲げる措置にあつては、その区分及び方法)
第17条 古物市場主は、その古物市場において売買され、又は交換される古物につき、取引の都度、前条第一号から第三号までに規定する事項並びに取引の当事者の住所及び氏名を帳簿等に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。
第18条 古物商又は古物市場主は、前2条の帳簿等を最終の記載をした日から3年間営業所若しくは古物市場に備え付け、又は前2条の電磁的方法による記録を当該記録をした日から3年間営業所若しくは古物市場において直ちに書面に表示することができるようにして保存しておかなければならない。
2 古物商又は古物市場主は、前2条の帳簿等又は電磁的方法による記録をき損し、若しくは亡失し、又はこれらが滅失したときは、直ちに営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長に届け出なければならない。
許可を取得後、営業許可の申請書類に記載した事項に変更があった場合
・営業所の名称や所在地、営業所の新設や廃止に関することは3日前まで
・それ以外の変更については、変更後14日以内(登記事項に関することは、変更後20日以内)
に変更届出書を提出しなければなりません。
また、発行された許可証に記載された事項に書換えが必要な変更は、書換申請(要手数料)をしなければなりません。
※勝手に許可証を書き換えたり、新たな文言を書き足したりした場合、有印公文書偽造罪(刑法155条等)にあたる可能性がありますのでくれぐれもご注意ください。
第7条 古物商又は古物市場主は、第5条第1項第二号に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして主たる営業所又は古物市場の所在地を変更しようとするときは、その変更後の主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会)に、国家公安委員会規則で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。
2 古物商又は古物市場主は、第5条第1項各号(第二号を除く。)に掲げる事項に変更があつたときは、主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、国家公安委員会規則で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。
3 前2項に規定する公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内に営業所又は古物市場を有する古物商又は古物市場主は、前2項の規定による届出書の提出を当該公安委員会を経由して行うことができる。
4 第1項又は第2項の規定により提出する届出書には、国家公安委員会規則で定める書類を添付しなければならない。
5 第1項又は第2項の規定により届出書を提出する場合において、当該届出書に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、その書換えを受けなければならない。
古物商の許可を受けた本人の名義を使って他人に古物営業をさせてはいけません。
古物商に限らず、あらゆる資格にいえることですね。
第9条 古物商又は古物市場主は、自己の名義をもつて、他人にその古物営業を営ませてはならない。
古物の売買等を行うときは、身分証明書等で相手の住所・氏名・職業・年齢を確認しなければなりません。
例外として、1万円未満の物については身分確認が免除される場合がありますが、その場合であっても、
・自動二輪車(原付含む)本体や、そのフレーム、ハンドル、エンジン、タイヤなどの部品
・ゲームソフト
・DVD
・書籍
については、本人確認をしなければなりません。
また、古物の売買等を行った場合に不正品の疑いがあるときは、直ちに警察に申告しなければなりません。
第15条 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。
一 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
三 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録であつて、これらの情報についてその者による電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第百二号)第2条第1項に規定する電子署名をいい、当該電子署名について同法第4条第1項又は第15条第1項の認定を受けた者により同法第2条第2項に規定する証明がされるものに限る。)が行われているものの提供を受けること。
四 前三号に掲げるもののほか、これらに準ずる措置として国家公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、同項に規定する措置をとることを要しない。
一 対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合(特に前項に規定する措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。)
二 自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合
3 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。
営業所や取引相手の住所や居所以外の場所で、古物商以外の者から古物の買取や売却の委託を受けることはできません。
なお、取引相手の住所や居所で古物の売買をする場合は、行商の届出が必要です。ただし、仮設店舗の届出を3日前までに行えば、その場所で買取等を行えます。
第14条 古物商は、その営業所又は取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所において、買い受け、若しくは交換するため、又は売却若しくは交換の委託を受けるため、古物商以外の者から古物を受け取つてはならない。ただし、仮設店舗において古物営業を営む場合において、あらかじめ、その日時及び場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出たときは、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する公安委員会の管轄区域内に営業所を有しない古物商は、同項ただし書の規定による届出を、その営業所の所在地を管轄する公安委員会を経由して行うことができる。
3 古物市場においては、古物商間でなければ古物を売買し、交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けてはならない。
古物営業を廃止したときは、許可証を返納しなければなりません。
許可後に欠格事由に該当することになった場合は、返納や取消しの対象となります。
6ヶ月以上営業を休止する場合も、許可取り消しの対象となります。
第八条 許可証の交付を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、遅滞なく、許可証(第三号に掲げる場合にあつては、発見し、又は回復した許可証)をその主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に返納しなければならない。
一 その古物営業を廃止したとき。
二 第3条の規定による許可が取り消されたとき。
三 許可証の再交付を受けた場合において、亡失した許可証を発見し、又は回復したとき。
2 前項第一号の規定による許可証の返納があつたときは、第3条の規定による許可は、その効力を失う。
3 許可証の交付を受けた者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつたときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、許可証をその主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に返納しなければならない。
一 死亡した場合 同居の親族又は法定代理人
二 法人が合併により消滅した場合 合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者
古物を扱うときに気を付けなければならないのは、盗品等に関する罪(刑法256条~257条)の存在です。
第256条
1項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
盗品等に関する罪(盗品等関与罪)
ザックリ解説しますと、盗品等罪とは
①財産に対する罪によって得られた物を
②そうだと認識しながら
③譲り受けたり等した者
は、罪に問われる
ということです。
①については、窃盗、強盗、詐欺等によって得られた物であるということです。
②については、「これは明らかに盗品(または財産に対する犯罪によって得られた物)だ」と思いながら譲り受けた場合はもちろんのこと、「これは盗品かもしれない」と思いながら譲り受けた場合も未必の故意として該当し得ます。
③については、譲受け、運搬、保管、あっせんなどが類型としてあげられます。
例:1000万円を超える純金の茶碗が盗まれたのを知りながら、これを売りにきた人から買い取った場合、盗品等有償譲受罪が成立し得ます。
契約のときに盗品であるとの認識がなくても、その品物を引き取るときに盗品だと認識していれば盗品等関与罪は成立し得ます。
この場合、インターネットで契約後、商品を受けとるときまでに知っていれば成立することになります。